クロとシロと俺ブログ。BNR32 -NA1-

スカイラインGT-R BNR32のお手軽レストア情報やRB26エンジンのオーバーホール、チューニング手法などを実体験をもとに情報発信しているブログです。最近はサブのNSXもいろいろDIYでプチレストアを楽しんでいます。

BNR32黒 ときどき 白

BNR32 RB26 最新の近代化改修 フルチューンエンジンを比較してみた。グループAカム LINK G4 BCNR33 BNR34 富山から。

 

皆様、ご無沙汰しておりました。

このブログは誰にも忖度無しに、RB26チューニングの情報をご紹介し続けているブログです。

ウチのBNR32は昨年チューニングから卒業し、今年は外車に浮気していました…。

 

が!

 

 今年に入ってGマガや雑誌などで、国内の各メーカーがこぞって海外製パーツ使って、なにやら騒々しくRB26に熱をあげたチューニング記事を見ていたら…。

 

「そうだ、俺はまだやり残してたんだった・・・」

 

 最新のRB26フルチューンエンジンの実力を、雑誌や情報媒体の忖度無しに、ちゃんと変態仲間に伝えておかねばなるまい・・・。

早速、二月くらいからefiテクノロジックにBNR32を持ち込んで、近代化改修を開始いたしました。

 

その結果は…?

 

今回のチューニング仕様と、一般的なフルチューンエンジンの仕様と、出力特性の違いが比較しやすいように、仕様の異なる3台のフルチューンエンジンのパワーグラフを掲載します。EFIテクノロジックで行ったDYNOJETの実馬力計測を比較します。

f:id:toyamaBNR32:20210623185831j:image

 

①青ラインパワー 575.71ps/6890rpm トルク 65.61㎏㎚/5930rpm

 

仕様

nismo GTパーツ、GCG2860r-2ツイン、REIMAXグループAカム288°、ブースト1.4〜1.7㌔アクティブ制御、LINK G4。

 

特徴

 今回の記事の車両ですが、以前のREIMAXストリートカム256°に比べて2000回転以下のトルクが無くなり、5速フルクロスだと一速スタートでも2000回転以上与えないとエンストしやすくなります。反面、ピークトルクが6000回転付近まで伸びるためパワーとトルクが一体となって鋭く加速するため、中〜高回転域はフルチューンRB26の本領を発揮して、グループA GTRの激しいエンジンレスポンスを充分に感じさせる仕上がりになっています。

エンジン音も排気音もレーシングカーと同等になるので、当時のグループA GTRが余程好きなオーナーじゃないと普段は乗れない仕様になります。

※純正エアクリボックス、純正インテークパイプ。メイン90φマフラー

 

 

②赤ラインパワー 569.93ps/7230rpm トルク 61.73㎏㎚/5330rpm

 

仕様

2.8Lキット、EFRシングルタービン、260°海外カム、ブースト1.5㌔、LINK G4。

 

特徴

 最新のEFRタービンと、260°カムで街乗りメインで仕上げたエンジンです。ブーストも1.5㌔にブースト制御は抑えてあり、エンジン耐久性とマネジメント、パワーをバランスよく LINKでセッティングしてあります。

エンジン、タービン共にマージンを残した余裕のあるセッティングなので、パワーグラフも非常に綺麗なラインを描いていますが、フルチューンのシングルタービン特性として、やはり5000回転以上で高回転型エンジンの特性を充分に引き出しています。高回転でアクセルに反応して鋭い加速を楽しめる仕上がりとなっていますがハイブーストなら、パワーで50psは上乗せを狙える仕様でもあります。

※赤はスポーツ触媒、エアクリはキノコ剥き出し。メイン90φマフラー

 

③緑ラインパワー 524.58ps/6950rpm トルク 61.46㎏㎚/5310rpm

 

仕様

2.8Lキット、vカムステップ2、2530改ツイン、ブースト1.7㌔、LINK G4。

 

特徴

 HKSのVカムを使うことで、RB26の低回転域のトルクを増して中速域までをカバーする加速重視の仕様になります。3台の中で1番低速トルクがあり、4000回転以下ではハイカム仕様と比べて20〜30%のトルクアップが見込めます。

他のどんなカムを使うよりも暴力的に加速感が増すので、RB26の弱点を補って4気筒ターボのような鋭いアクセルレスポンスで、3台の中では1番車が速くなった!と体感できるフルチューン仕様だと思います。

またステップ2を使用しても、セッティングをしっかりできれば、1番街乗りで乗りやすく、燃費が良く、排気音量も抑えられます。

反面、カム形状から高回転での伸びには限界があり、ハイカム仕様には一歩届きません。

※緑はスポーツ触媒、エアクリはキノコ剥き出し。メイン90φマフラー

 

ご注意

3台は吸排気レイアウトが異なります。またアクセルのつきなど、体感面はデータには無いので出力データと、エンジン仕様で比較できる点を参考にしてください。

 

近代化改修と、今後の課題について。

 前記事まではパワーFC制御でしたので、純正の各センサー類の追加制御、機能系のフィードバック制御、ブースト制御が甘く、吸気温度などの諸条件が揃わないと、max馬力が出ないのが不満でした。また1番の懸念はノッキング制御で、ECUで細かいマネジメントができないので発生時の値の変化が大きかったことです。

 

 RB26の近代化改修の要点は、エンジンの燃焼をモニターしている純正センサー類を性能向上と、センサーの追加、ECUのエンジンマネジメントの見直し、セーフティ機能の追加、電子スロットル化、フラットシフト、ローンチコントロール機能の追加などです。

 

ECUチューニング内容。

①LINK G4+導入

②REIMAX グループAカム導入

③フラットシフト機能追加

④ステアリングに制御、警告ランプ追加。

⑤各種フィードバック制御範囲拡大

⑥ローンチスタート機能追加

⑦センサーの追加

 

詳細

f:id:toyamaBNR32:20210624061117j:image

 今回、自分が選択したチューニング内容は、従来のパワーFCで不安定だった出力特性や、エンジンマネジメントを見直して、フルチューンエンジンを不安なく安心して維持できることが目的とするものです。ベースエンジンは、以前作ったnismoのGTパーツで約2.8LにしたRB26。REIMAXのストレートカムをやめて、グループAカムを導入し、エンジン制御にLINKのKUROFUNEを導入しました。これにより燃焼状態をモニター、フィードバック、ブースト制御、ノックリタード、点火カットなどエンジンマネジメントに関することに重点をおき、フラットシフトやローンチコントロールなどの機能も追加しました。

 

f:id:toyamaBNR32:20210624060930j:image

 LINK G4 ソレノイドバルブ

ブースト制御はLINKのオプションを使用しタイムラグを皆無にしました。

  

f:id:toyamaBNR32:20210624061216j:image

ステアリング周り

 ドライバビリティを向上させるためにステアリングにECUの制御ランプと警告、フラットシフトとローンチコントロールの作動スイッチを仮づけしました。運転している時に、余計なモニターや無数の追加メーターがあっても、サーキットなどで全開走行していたら正直言って数値など見ていられません。

 LINK G4からの警告は、できるだけシンプルにステアリング付近で一目で理解できるように各種色別のランプに集約しました。昼間でも明るいランプで目の前で点灯するので、まずは見落としはしません。実際にエンジンマネジメントで起きたエラー内容などはKUROFUNEに記録されるので、PCの管理画面から見直したりモニターできます。

 

フラットシフト、ローンチ機能の追加。

 簡単に言うと、アクセル全開のままシフトチェンジができる機能です。そのメリットは大きく、シフトアップ時のターボラグと回転数ダウンを防げます。基本的には各ギア比がクロスしていないと効果が発揮されません。シフトチェンジでポルシェみたいに「バラバラッ」と鳴るようになります。

 LINK G4では、点火カットの仕方、点火の復帰タイミングなどを、ギア比やシフトアップ速度に連動させると、アクセル踏みっぱなしで連続してシフトアップし続けることが可能です。街乗りセッティングなら、ハーフアクセルでも作動させることは可能ですし、Hパターンの5速6速などでもセッティングできます。

 セッティングは難易度が高く、まず実走でフラットシフトのセッティングは合法的には不可能に近い所業です。ローラー式シャシダイを利用するかサーキット等でのセッティングになります。またECUの制御面やミッションの仕組みを理解せずに、いきなりフラットシフトのセッティングを試すとギアかシンクロを壊す確率が高いです。

 ミッションはI型でもHパターンでもフラットシフト機能をセッティング可能ですが、シンクロが弱いGTRのミッションを完璧に対応してくれるチューニングショップは全体の数%も存在しないと感じます。

 もう一つのローンチ機能はゼロ加速時に、アクセル全開で待機した状態で、一定の回転数で保持する機能ですが、BNR32だと連動できるトラクションコントロールは無いので、任意の回転数でセッティングをします。

 フラットシフトもローンチも富山だと唯一、EFIテクノロジックでセッティングしてくれます。

 

重要な変更点

f:id:toyamaBNR32:20210624060724j:image

 燃焼制御に影響が大きな箇所は、各センサーを精度の高いものへ変更し、今回はさらに高精度なセンサーを追加しました。吸気温度、AF、排気温度×6、燃料温度。

f:id:toyamaBNR32:20210626161136j:image

これら全てのデータをLINK G4でアクティブにフィードバックすることで、外気温などの実走行の状況変化に影響されずに、最適な空燃比やブースト圧をアクティブに制御させることで、エンジン出力を常時安定させることができました。

 

f:id:toyamaBNR32:20210624063400j:image

カムの変更

 REIMAXストレートカム256°から、グループAカム288°へ交換した影響は思ったより少なく、グラフの青線で表してありますが、最大トルクで500回転ほど上振りに、馬力の出方は変わらず7000回転付近がmax出力で20馬力ほど向上しました。

f:id:toyamaBNR32:20210624060903j:image

ブースト圧の変更

 ブースト圧は1.4㌔〜1.7㌔の範囲で、吸気温度と燃料温度で出力は変わりましたが、カム交換でもタービン効率が大きく変わらなかったのは、現状の吸排気パーツ類とレイアウトの限界かと考えられます。(エアクリからスロットルまで)

グループAでもツインターボのインテークパイプやエアクリボックスの設計を見直ししたように、吸気側の抵抗を下げるか?このままで出力を抑えるか?はオーナーの自主規制やコダワリの判断になります。

 赤と緑のパワーグラフの車両は、ちゃんとエアクリ&インテークパイプ及びパイピング一式を変更してあります。 

 

こだわりとその課題

 自分の場合は下記画像のエンジンルームで、純正レイアウトを大きく変更したくなかったため電スロや剥き出しエアクリなどは見送り。純正エアクリボックス、パイピング形状、サイズなどが、出力抑制する吸気リストラクターと化してるようです。

 
その他

f:id:toyamaBNR32:20210623184942j:image

 パワステベルトはフルードダンパー導入後に馬力を出すと外れまくりました。さまざまな理由を検討しましたが、7000回転以上で弾けるので、根本的な設計を見直せる社外プーリーを追加することで解決しました。同時に高騰した純正カップリングも新品に交換。

f:id:toyamaBNR32:20210623172245j:image

KUROFUNE用の配線を作るEFIテクノロジック石黒社長。

f:id:toyamaBNR32:20210623172149j:image
f:id:toyamaBNR32:20210623172136j:image
f:id:toyamaBNR32:20210623172223j:image
f:id:toyamaBNR32:20210623172310j:image
f:id:toyamaBNR32:20210623172257j:image

俺が手作業でエキマニのポート加工を完璧にこなした貴重な思い出。

f:id:toyamaBNR32:20210623172211j:image

f:id:toyamaBNR32:20210623172234j:image

フルードダンパー導入は高出力、高回転時にRB26の長いクランクの振動を抑制します。
f:id:toyamaBNR32:20210623172321j:imagef:id:toyamaBNR32:20210623172200j:image

288°グループAカムREIMAX。

自分の感覚だと、初めからこのグループAカムをつけときゃよかったです。ただしホントに昔の設計なので、他のメーカー製のカムと異なる点があり、いまどき製品のポンづけ感覚で使うとセッティング間違えるよね…。

 

以上、書き殴りの文章ですが、RB26チューニングの参考にしていただけたらと思います。