ん~富山が蒸し暑い・・・。
先月の末に、RB26の馬力アップチューニングの紹介ブログ記事を書き始めたら、初心者向けに書き始めると、膨大な量のパーツの紹介と、書いてる内容が広がって、まとめるのが大変なことになっています。
あの記事の続きは、しばらくお待ちください。
いまページ数が、RB26チューニング初心者用の冊子になりかけてます。
さて。
今日はそんな話ではなく、RB26のメンテナンスで、最速!1分でデキルという重要なメンテナンスがあります。
それは・・・・、
ラジエターキャップ交換。
なんだよ。
今回も、つまんねぇ記事だなぁ~!?おぃと思った方。
そう地味な話ですよね。
ラジエターの!あの頭についているキャップを交換するって話です。
でも今回は、あえて地味なあのパーツが我らがRB26の生命線って小話を記事にしてみました。おそらく現存する多くの第二世代GT-Rで、ラジエター交換をしていない車両は皆無だと思います・・。各メーカーのラジエターの給水口には、それぞれラジエターキャップがついてるとは思います。
そのラジエターキャップの話なんですが。
私、最近、少々不安に感じたことがあったんです・・・・・。
ともかく、この写真を見てください!
自分のBNR32のARCラジエターのラジエターキャップ。
これは・・・。
いけませんね。
蓋が上下逆についています。
せっかくのARCロゴも汚いですね!・・・・・・。(*´ω`*)
いや待て待て。
ソコじゃないです。
※左が交換前。右が新品。
ん~?特に異常なし。
バネもウレタン?も硬化なし。
走行距離が少ないので、劣化はしにくいかもしれませんが。
いやいや、ところがどっこい!?
こういう部品の経年劣化は、手で触って見てわかる異変なら、すでに部品性能が終了してます。使用期間で考えたほうがいいですね。
このラジエターキャップは、5年以上も交換していないので、ストックしてある予備部品と交換しましたよ。良く走る方は2年に1回の交換が推奨です。※キャップ交換は、水温が上がっていると危険なので、エンジン始動前、水温が気温以下の日に朝一作業でやりましょう。
さてラジエターキャップが綺麗になって、エンジンルームも見栄え良くなりました!
ラジエターキャップは、エンジンルームで綺麗しておきたい目に入るパーツの一つなのでぜひ交換しておきましょうね!
って・・・。
今回は、ここからが大事な話です。
それはこのラジエターキャップは、経年劣化しやすい消耗部品であり、RB26にとって生命線の超重要部品ってことです。
ラジエターキャップには、主に下記のような機能があります。
1、ラジエターの吸水口に逃げてきた空気が、リザーバータンクに抜け出ることはあっても、キャップの隙間から空気が入りこまないように密着させるパッキンとしての役割。
2、冷却水にキャップのバネの力で、圧力をかけることで100℃よりも沸点を高め、ラジエターと冷却水によるエンジン冷却効果を高める役割。
(0.9kPaで沸点は120℃付近、1.3kPaで130度付近へ)
※どれもエンジンにとって大事な機能で、エンジン中のウォーターラインや、ラジエター、水回りパイプのライン上で、冷却水が沸騰しないようにし、オーバーヒートを防いでいます。
危ない!その高圧力キャップ?
第二世代GT-Rには、様々なメーカーからラジエターが出ていますが、よく見ると約1.1kPa~1.3kPa(㌔パスカル)以上の高圧力をかけるラジエターキャップが標準でついていたりします。
ここからは街乗りメインの車両の方は要チェックです。
もしこのフタに1.3㌔Paもの高圧力が記載されているなら、ラジエターキャップは、ただ圧力が高いほうが冷却効果が高いと考えると危険かもしれませんよ!?
そもそもRB26は、水回りが純正レイアウトでゴムパイプやスプリングタイプの金具を使用しており、ラジエターキャップの圧力は純正で0.9㌔で設定されています。つまり純正ノーマル状態のエンジンがアクセル全開で水が回って、水温が100℃を超えて実用的に耐えられる冷却水の圧力は0.9㌔~1㌔Pa程度です。その圧力の沸点は約120℃程です。
現存する多くの第二世代GT-Rのエンジンルームでは、すでにウォーターラインのゴムバンド付近から冷却水の滲みや漏れは出ています。その劣化している状態で、さらにラジエターキャップで高圧力をかければ、ゴム配管の連結部など圧着の弱い箇所から外に向かって逃げようとします。※ブーストアップ以上の馬力が出ているエンジンだと発熱量が変わるので、ゴム配管類の経年劣化はさらに進行しています。
何も考えずに、中古車で購入したまま、水回りパイプ類の連結金具やパイプ自体もレストアもチューニングもせずに、ラジエターだけを交換して1.3㌔Paもの高圧力のラジエターキャップを使用すると・・・。
正直、高圧力のラジエターキャップの異常は、街乗りメインの方は、異変に気がつかないことが多いんです・・・・。その理由の一つは、高回転になるまでアクセル全開で走行しないと、冷却水の温度が上がらず、沸騰しにくく圧力の変化が小さいためです。
しかし、そんな日ごろ街乗りでたまに遠距離ドライブする方など、俺のRB26の加速を見せてやるぜ!と仲間内で漢気を見せたときに・・・。アクセル一発で、純正金具が食い込んで弱っている純正ゴムホースの結合部でゴムホースが破断し・・・・。
アクセル全開で、ブシャー!と冷却水をまき散らして、そのまま対処する間もなく、即オーバーヒートで、ご自宅から遥か遠方の地でRB26はご臨終されます。
オーナーミィーティングなどで、日ごろ鞭を入れないRB26に、一発気合を入れるときは、たかがラジエターキャップごときで、RB26はご臨終するということを念頭に日ごろのメンテナンスを厳重にしておきましょう。
さて対策ですが。
もし自分の車が、上記に該当するような条件ならラジエターキャップの圧力は、1㌔前後のものまで落としたいところです。各メーカーのラジエターキャップは、概ね低圧力のものが用意されています。
また製品にラインナップが無くても、同じメーカーで給水口の形状が合うなら他の車種のラジエターキャップ流用も可能です。
ラジエターは製造メーカーで形状が専用品になる場合もあります。専用品の場合はラジエターキャップは予備を用意しておき、経年劣化するウレタンやゴムが使用されていますので、最低でも2~4年サイクルでは交換しましょうね。
たかがラジエターキャップ。
されどラジエターキャップ。
RB26の生命線です。
街乗りメインの方や、中古車で新規オーナーになった方は、0.9~1.0㌔程度のものをお薦めいたします。
最後に。
ラジエターキャップが劣化して機能が失われるとどうなるか?
ご存じですか?
ラジエターキャップと、真夏のBNR32物語。
ソレは、突然やってきます。
最初に異変に気がついたのは、街乗りでの走行中にエアコンが熱風に変わったことです。冷房全開でもエアコン吹き出し口から熱風がでます。
日ごろ見ている水温計を見るよりも先に、あ~またエアコン壊れた!?と思います。
その後、走行中にもかかわらず暖房のような風がでてきて、室内が熱くなってくるのでなんかヤバいね!?と、モヤモヤしていると、数十秒を開けて純正水温計が目に見えて高くなっていきます。
水温の異常に気がついたら、路肩に車を止めます。
停車すると1~3分も経過しないうちに、水温メーター上限まで針が目に見えて登りつめます。あわててエンジンルームを開けて、水漏れを探しても見当たりません。
1、冷却水の予備タンクは残量がある。
2、ラジエターファンも回っている。
3、水漏れもない。
この状態だと「ラジエターキャップの劣化によるオーバーヒート」の可能性大です。
※もしエンジン音がゴトゴトと異常音が発生し、マフラーから白煙があるならヘッドガスケット抜けの可能性が非常に高くなります。当然ですが燃焼室に水が入ってピストン焼き付いてご臨終です。
そして、このオーバーヒート。
数十秒単位で、危険度がエスカレートします。
エンジンルームの点検を始めて診ている最中に、予備タンクの水が減り始め、タンクの水は沸騰します。近くにコンビニがあれば、富士の天然水など、とりあえず天然水を買って予備タンクにぶっこみましょう。
※とりあえず緊急だからといって、ジュースなど糖分や塩分を含むものは禁止で、エンジンブロックのウォーターライン上で血栓のように結晶化してエンジンにとどめさします。
ところで・・・。
こんなときになんですが・・・。
水を買う量は500ml×10本は必要なんです。
※オーバーヒート緊急時、水は多いに越したことありません。
ラジエターファンが回っていて、エンジン音が正常なら、ラジエター前部を水で満たして垂らしながらラジエターの冷却効果を高めます。
また予備タンクには、どんどん水を追加します。
オーバーヒート時の冷却水は、大気に触れると沸騰し、どんどん蒸発していくので、予備タンクの上限イッパイ補充してもお替りは3~4回するもんです。
補充した水をどんどん吸い込みます。
このときのラジエターは、
相当な高温ですから絶対に触ってはいけません。
もしラジエターキャップを上から押さえても、蓋の上からでは大した水圧はかかりません。また中のバネが弱ってるか開口部のシールが弱って密着ができずに隙間ができているなら、フタの圧力では補えないので、慌ててフタを触るくらいなら、ラジエター本体をどんどん冷却してください。
水を予備タンクに補充しつづけながら、ラジエターに水をかけ、エンジンは切らずに水を補充し続けます。こうしていると真夏でもラジエターファンが回っていれば、数十秒で水温は下がり始め、数分で水温は90度ぐらいまでに落ち着きます。ラジエター前部の水かけは一番冷却効果が高いんです。
そのあとに、誰かに電話してレスキューしてもらいましょう。
オーバーヒートは、
すぐ処置したらエンジン破損を免れます。
※目安としてRB26は、水温~150℃のアイドリングで~5分以内の処置開始ならギリギリ助かると思います。
もし、そのときに短時間で対策できる水が手に入らないときは・・・・。
あなたのRB26は、残念ながらご臨終されます。
たかがラジエターキャップ。
されどラジエターキャップ。
ラジエターキャップは、RB26にとって生命線です。
皆様もぜひ交換しておいてください。