MIL規格 エンジン ハーネス 制作現場 見学してきました。efiテクノロジック株式会社まで
最近、日照時間が少ないのに気温は高い。
真夏なのに暗い空模様の富山県です。
さて今回は、車両の電気配線の怖い話です。
今年で誕生から24年経ったウチのBNR32ですが、人間なら相当なおじいちゃんです。
製造から10年以上経過した電気配線は、いつ動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞など突然死につながる病気を発症してもおかしくありません。
車の電気配線は、国内では主に用途に合わせて◯◯ハーネス(以下ワイヤリング)と呼ばれています。
ワイヤリングの役割は、バッテリーから車両全体へ安定した電気を供給することにあります。人間の身体でいうなら血管のような役割です。
血管と異なる点は、主に電気を流すための導線とこれを被覆する耐熱ビニルでできています。 このワイヤリングが経年劣化すると、まずビニル被覆が硬くなり、これが数十本も束ねてある場所だと柔軟性がなくなって取り回しが全く効かなくなります。これを無理に動かそうとしたり、または車両の振動や衝撃等で、硬くなったビニル被覆が破れ、漏電や短絡が発生したりする可能性があります。
酷い場合は導線の一部が被覆内部で切断されていたりもします。
また多くの純正ワイヤリングは、接合部のコネクタに爪で噛み合うタイプのプラスチックカプラーを使用している場合が多く、経年劣化すると、このカプラーが割れて接点不良や短絡(ショート)の原因となります。
電気系トラブルは、簡単に補修ができるトラブルだけならいいですが・・・・。
最悪のケースもあります・・・・。
それがエンジンブローです。電気配線のトラブルは安易に考えていると車両火災、電子機器の破損やエンジン破損を引き起こす原因となります。特に車両制御を統合しているコンピュータ(以下ecu)へ、センサー類が間違った情報を発信することで、ECUが車両制御やエンジン制御をミスしてしまうことがあります。
現代の多くの乗用車のコンピュータ(ecu)は賢くなっていて、エンジン保護機能(セーフティ)がついていますので、多くの場合はエンジンが破損するような事故になる前にセンサー類から普段と著しく異なるデータを受け取った場合、空燃比や点火時期を安全な領域へ自動調整して、出力を落としてドライバーへ警告表示もするようです。
たとえ旧車であってもMOTECやLINKなどの最新ECUを導入した場合は、センサーからのフィードバックにより、エンジンコントロールにセーフティ機能を働かせることが可能になっています。
しかしそのセーフティを作動させるのも、ECUに接続される50〜100本のワイヤリングです。車両の電子部品やセンサー類、エンジン制御系の電子機器同士を結びつけて走行性能と、安全性、利便性を高めるのがワイヤリングの役目なのです。
純正ワイヤリングは車両製作コストを削減するため、NSXやR35でさえMIL規格には遠く及ばない軽四同程度の導線性能と耐久性しか確保されていません。
街中で一般走行する用途では、あまり重視する必要がないワイヤリングですが、サーキットのような車両限界に近い環境で、振動、摩擦、熱などによりワイヤリングの導線が内部で断線したり、ビニル被膜が摩耗や熱で損傷したり、接点コネクタが破損したりすることで、電子部品が作動しなくなったり、センサー類からの入出力信号が適切に送られない状態になって車両コントロールを失うのは恐ろしいことです。
今も昔もサーキット全開走行は、異常が発生するエンジン回転数も、発生時間も長くなりますので、エンジン制御系統の電子部品やセンサー類にトラブルが発生した際には、即セーフティ機能が働いても最悪エンジンブローに至るリスクは高いと言えます。
電気系トラブル対策は、エンジン制御系の電子部品は早めの交換サイクルを守り、セーフティ機能が充実したECU導入、ワイヤリング性能、カプラー性能を強化し、電気系統のトラブル対策は万全にして可能な限り高価なエンジンは保護したいものです。
こうしたワイヤリング対策は外国のチューナーでは当たり前に行われており、近年では国内トップチューナーも経年劣化やトラブル対策に、MIL規格ワイヤリングの導入を行うようになってきました。MIL規格ワイヤリングハーネス製作には、トラブル発生率の高い純正コネクタを、耐熱、耐水、対塵など用途に合わせた対策品で構成することで電気系トラブルのリスクを大きく軽減し、かつ重量軽減にも繋がります。
たとえば↓純正エンジンハーネス
同じ車両でワンオフ製作されたMIL規格ワイヤリング↓
重量も質量も半分以下になって、耐久性や導線性能も美しさもアップしています。
※上の画像は、トヨタ車のワイヤリングをMIL規格で製作しているものです。
MIL規格で製作されたワイヤリングは、エンジンルーム側と車両側でたった二本に束ねられてしまいます。純正ハーネス段ボール2杯分の量が約4分の1以下になってしまいます。と言っても実はセンサー類など、エンジン制御に必要な導線数はさほど変化していません。ワイヤリング自体の質量が大きく削減されているのです。
こうしたMIL規格ワイヤリングの特徴は、レース車両の製作や、旧車のレストア、エンジンルームのドレスアップなど、さまざまな目的で活かせそうですね。
最後に。
画像のMIL規格ワイヤリングは、このブログ内でたびたび登場してるEFIテクノロジック株式会社(富山県)さんでワンオフ製作したものです。
国内外の車両メーカーを問わず、車両ごとにワンオフ製作してくれます。センサー類やECUなど必要な仕様にあわせて製作してくれますので、MIL規格の本物が欲しい方や、そろそろワイヤリングの経年劣化が気になる方は、ぜひEFIテクノロジックさんに相談してみてはいかがでしょうか。
動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞予防!
ちなみにMIL規格ワイヤリングのお値段はは……普通車一台買えます…。
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